Marantz 8B. 3台目修理記録
平成26年4月10日到着   12月17日完成
A. 修理前の状況
  • 管球アンプが好きで、マランツ8Bを聞いていました。
    引っ越しとなり、昨日荷解きをして、マランツのプリとタンノイ(老化で箱の材質がかなり痛んでいることが判明)をつなぎ、真空管をさして通電したところ、左奥の球が異常に発光してシャシー下から煙がでました。
    同時に臭いにおいがしました。
    すぐにスイッチを切りひっくり返すと、白っぽいロウのような材質のコンデンサー二本辺りが臭くて、表面が溶けたようにブツブツしています。
    よく解りませんが、上右の方が強くにおいました。
    原因は歳のせいか、最近視力が落ち、左奥の球の種類を間違えたようです。
    外観、ピンはそっくりでしたが無印でした。
    光ったのはこの球で、捨ててしまいました。
    あるいは粗悪な球だったのか、わかりませんが、しっかりと確認せずミスを犯してしまい大変くやまれます。
    いろんなアンプを試してみましたが、このアンプは一番好きなので、ほかのはいらないと思っています。


B. 原因
  • 終段出力真空管6CA7が寿命により、グリッドタッチによる、バイアス電圧低下で片側2本死ぬ。
    電源ブロック電解コンデンサー劣化(液漏れ)。
    終段出力真空管6CA7 ソケットが接触不良。

C. 修理状況
  • 電解コンデンサー交換。
    配線手直し、補強。
    整流ダイオード交換。
    電源ブロック電解コンデンサー交換「ElNA Cerafine」選択。
    SP接続端子の交換。
    テフロン絶縁RCA端子に交換
    不良真空管交換


U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定
V. TubeTester HickokTV−2B/Uによる交換真空管測定
D. 使用部品

  • 電解コンデンサー                      8個。
    整流ダイオード                       5個。
    電源ブロック電解コンデンサー「ElNA Cerafine」  1本(100μ×2/500WV )。
    SP接続端子                         2個。
    テフロン絶縁RCA端子                  4個。
    出力真空管 EL34                     4本。

E. 調整・測定

F. 修理費      80,000円    真空管 EL34 4本込
              通常修理

S. Marantz 8B. の仕様(カタログ・マニアルより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る
A26. 点検中 下蓋を取り、下から見る
A31. 点検中 倍電圧用電解コンデンサー、 液漏れしている。
A32. 点検中 6CA7のバイアス電源用電解コンデンサー、 液漏れしている。
A33. 点検中 6BH6のバイアス用電解コンデンサー、 液漏れしている。
A34. 点検中 交換する電源回路の電解コンデンサー比較。
  • 右=付いていた物、 60μ/300WV(中にもう1本)、 40μ×2+20μ/500WV。
  • 交換する新しい物は下記2組を選択可能。
    • 中=交換する新しい物、100μ×2/500WV 「ElNA Cerafine」。
A51. 点検中 RCA端子交換、 テフロン絶縁が使用出来ます。
A61. 点検中 SP接続端子交換、 左=交換する物、右=付いている物。これを選択する。
A62. 点検中 SP接続端子交換、 
        出力8オームに限定すれば、WBT−0735 に交換(但し、台無)可能。
A81. 点検中 EL34 4本
A82. 点検中 EL34 4本、拡大。
A83. 点検中 EL34 4本、右2本は空気管で使用不可。
A91. 点検中 6FQ7(6CG7) と 6BH6
A92. 点検中 6BH6と6FQ7(6CG7)
A93. 点検中 6BH6と6FQ7(6CG7)、 左から3本目6FQ7(6CG7)が1本エミ減。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
11. 修理(交換)前 入力RCA端子、 SP接続端子。
C12. 修理(交換)後 入力RCA端子、 SP接続端子。
C13. 修理前 入力RCA端子裏配線、 SP接続端子裏配線。
C14. 修理後 入力RCA端子裏配線、 SP接続端子裏配線。 素子の端子への配線は絡げる。
C21. 修理前 高圧整流回路、 バイアス整流回路
C22. 修理後 高圧整流回路、 バイアス整流回路
C31. 修理前  真空管EL-34ソケット付近配線
C32. 修理後  真空管EL-34ソケット付近配線、 カソードに安全抵抗挿入。
C41. 交換部品
C42. 交換部品、 経年劣化でヒビの入ったフイルムコンデンサー。
C51.修理前 上から見る
C52.修理後 上から見る
C53.修理前 下から見る
C54.修理後 下から見る
C55.修理後 前から見る
U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
U1. 付属真空管。 左から 6BH6 1本目、2本目。 左から6BH6と6FQ7(6CG7)1本目..4本目。
    真空管ハンドブック(規格表)の、
    6BH6相互コンダクタンス=4600μmho、「Ep=250V、Esg=150V、Eg1=−1V」
    6FQ7(6CG7)相互コンダクタンス=2600μmho、「Ep=250V、Eg1=−8V」
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
U2. 付属真空管。 左から 6BH6 1本目、2本目。 左から6BH6と6FQ7(6CG7)1本目..4本目。
U11. 付属1本目 6BH6 測定。 Gm=5100μmho、 IP=9.14mA。
         Cレンジ=7500μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=150VEg1=−1V」。 
U11. 付属2本目 6BH6 測定。 Gm=5350μmho、 IP=7.34mA。
         Cレンジ=7500μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=150VEg1=−1V」。 
U21. 付属1本目 6FQ7(6CG7) ユニット1測定。 Gm=?μmho、 IP=?mA。エミ減で測定不能。
U22. 付属1本目 6FQ7(6CG7) ユニット1測定。 Gm=?μmho、 IP=?mA。エミ減で測定不能。
U31. 付属2本目 6FQ7(6CG7) ユニット1測定。 Gm=3000μmho、 IP=12.58mA。
         Cレンジ=6000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=150V、Eg1=−8V」。
U32. 付属2本目 6FQ7(6CG7) ユニット2測定。 Gm=3000μmho、 IP=10.13mA。
U41. 付属3本目 6FQ7(6CG7) ユニット1測定。 Gm=3200μmho、 IP=12.58mA。
U42. 付属3本目 6FQ7(6CG7) ユニット2測定。 Gm=3120μmho、 IP=11.61mA。
U51. 付属4本目 6FQ7(6CG7) ユニット1測定。 Gm=3440μmho、 IP=13.00mA。
         Cレンジ=3000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=150VEg1=−8V」。
U52. 付属4本目 6FQ7(6CG7) ユニット2測定。 Gm=3400μmho、 IP=13.04mA。
U61. 付属1本目 EL34 測定。 Gm=8000μmho、 IP=1.74mA。
        Bレンジ=15000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=250VEg1=−13.5V」。
   真空管ハンドブック(規格表)の、
   EL34(6CA7)相互コンダクタンス=11000μmho、「Ep=250V、Esg=250V、Ip=70mA、Eg1=−14V」
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
右2本は空気管で使用不可
U71. 付属1本目 EL34 測定。 Gm=13500μmho、 IP=50.73mA。
        Bレンジ=15000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=250VEg1=−13.5V」。
U81. 付属2本目 EL34 測定。 Gm=13500μmho、 IP=84.45mA
        Bレンジ=15000μmhoレンジでの測定、「Ep=250V、Esg=250VEg1=−13.5V」。
測定電源は安定化(電圧・周波数)電源を使用し、AC115V 60Hzで行う。
プレート波形を観測しながら測定する。
V. TubeTester HickokTV−2B/Uによる交換真空管測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
V0. JJ EL34 4本(2ペア)。
    Ep=250V、Eg2=250V、Eg1=−14.5V、Ip=73〜74mA、Isg=9.7〜9.8mAの測定結果付き。
    真空管ハンドブック(規格表)の、
    EL34相互コンダクタンス=11000μmho、「Ep=250V、Esg=250V、Ip=70mA、Eg1=−14V」
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
V1. 1本目JJ EL34。  Gm=10700μ、Ip=62.9mA。
                 測定条件、   「Ep=250V、Eg2=250V、Eg1=−14.5V」
V2. 2本目JJ EL34。  Gm=11000μ、Ip=61.7mA。
                 測定条件、   「Ep=250V、Eg2=250V、Eg1=−14.5V」
V3. 3本目JJ EL34。  Gm=10200μ、Ip=61.9mA。
                 測定条件、   「Ep=250V、Eg2=250V、Eg1=−14.5V」
G4. 4本目JJ EL34。  Gm=10000μ、Ip=59.5mA。
                 測定条件、   「Ep=250V、Eg2=250V、Eg1=−14.5V」
E. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E21. 50Hz入力、R側SP出力電圧17V=36W出力 0.215%%歪み。
              L側SP出力電圧18V=40W出力 0.206%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. 100Hz入力、R側SP出力電圧17V=36W出力 0.1624%歪み。
               L側SP出力電圧18V=40W出力 0.165%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. 500Hz入力、R側SP出力電圧18V=40W出力 0.1573%歪み。
              L側SP出力電圧18V=40W出力 0.161%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. 1kHz入力、R側SP出力電圧18V=40W出力 0.168%歪み。
             L側SP出力電圧18V=40W出力 0.171%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. 5kHz入力、R側SP出力電圧18V=40W出力 0.197%歪み。
             L側SP出力電圧18V=40W出力 0.201%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. 10kHz入力、R側SP出力電圧18V=40W出力 0.1899%歪み。
              L側SP出力電圧18V=40W出力 0.194%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. 50kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W出力 0.89%歪み。
              L側SP出力電圧15V=28W出力 0.93%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E4. 測定電源電圧=116.2V、 その時のヒータ電圧=6.22V。
E5. 完成、引き続き24時間エージング。
                     左は、電源大型電解コンデンサーSP接続端子の交換に来た B−1. 4台目
S. Marantz 8B. の仕様(カタログ・マニアルより)
型式 管球式ステレオパワーアンプ Model 8B
定格出力(30Hz〜20kHz) 35W+35W(4Ω)
35W+35W(8Ω)
35W+35W(16Ω)
3極管接続の場合 約15W+15W(8Ω)
全高調波歪率(1kHz、1W、8Ω) 0.1%
周波数特性(1W、8Ω) 20Hz〜40kHz ±1dB
入力感度/インピーダンス(35W) 1.3V/250kΩ
S/N比(EIAJ) 90dB
使用真空管 EL34(6CA7)×4本、6BH6×2本、6CG7×2本
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力(電気用品取締法) 190W
外形寸法 幅348×高さ191×奥行273mm
重量 22.5kg
価格 1953年〜1961年 \165,000
レプリカ \360,000 1995年発売
                    8b-3_1z
ここに掲載された写真は、修理依頼者の機器を撮影した者です、その肖像権・版権・著作権等は、放棄しておりません。  写真・記事を無断で商用利用・転載等することを、禁じます。
 Copyright(C) 2021 Amp Repair Studio All right reserved.